誤嚥事故とは

介護施設における誤嚥事故とは、本来であれば食道に送られるべき食物や飲み物が誤って気管に入ってしまうことで生じる事故をいいます。
高齢者は加齢や疾患により嚥下機能(飲み込む力)が低下していることが多く、特に認知症や脳血管障害、パーキンソン病などの疾患を持つ方の場合、誤嚥のリスクは非常に高まります。
誤嚥が発生すると、むせ込みや咳き込みといった初期反応が起きることがありますが、場合によってはすぐに窒息や呼吸困難、肺炎(誤嚥性肺炎)など重篤な健康被害を引き起こすこともあります。特に施設内での誤嚥事故は、職員の見守り不足や食事形態の選定ミスなど、人為的な過失が原因となるケースが少なくありません。
事故後、ご家族は「なぜこのような事故が起きたのか」「本当に防げなかったのか」「施設の責任はどうなるのか」といった疑問や不安を抱えることが多いのが現状です。
よくある誤嚥事故ケース
誤嚥事故の典型的なケースとしては、次のようなものがあります。
- まず、「食事形態の誤り」によるものです。医師や栄養士の指示で刻み食やミキサー食が必要とされていたにもかかわらず、通常の食事や大きな具材が提供され、誤嚥を引き起こした例が見受けられます。
- 次に、「食事時の見守り不足」です。本来、嚥下機能が低下している入居者には、職員が側について見守り、必要があれば介助することが求められます。しかし、食堂が人手不足で職員が目を離した間に誤嚥が発生するケースが少なくありません。
- さらに、「食事の姿勢や環境が適切でなかった」ことが事故原因となる場合もあります。嚥下に適した姿勢を保てていなかった、あるいは急いで食べさせることで誤嚥を誘発したという事例も報告されています。
こうしたケースでは、事故そのものの原因だけでなく、事故後の救命措置や医療対応に不備があったことが損害賠償請求の争点になることもあります。
事故後に適切な措置を行わず、救急車を呼ぶのが遅かったことなどが問題となることもあります。